本栖湖の人気スポットの一つである「沈車」。
これまで詳しい車種は分かっていませんでしたが、本栖湖ツアーにご参加いただいた車に詳しいオカピさんが、車種を特定してくださいました👏

長い年月を水中で過ごしてきた姿からは、周囲の沈木とはまた異なる時間の流れが感じられます。
沈車の正体は「2代目 マツダ・ファミリアバン1000」
今回特定された車種は、1968年(昭和43年)に登場した、「2代目 マツダ・ファミリアバン1000」と考えられます。
参考動画はこちらです。

当時の主な仕様は、次のとおりです。
- 全長×全幅×全高:3,790mm×1,480mm×1,390mm
- 車両重量:730kg
- 乗車定員:5名
- エンジン:PB型・水冷直列4気筒OHV 987cc
- 最高出力:58PS/6,000rpm
- 最大トルク:7.9kg・m/3,500rpm
- 燃料タンク容量:40L
- 最高速度:135km/h
- 最小回転半径:4.0m
ファミリア1200の2ドアデラックスもよく似た形状をしていますが、そちらにはヘッドレストが装備されています。
一方、本栖湖に沈んでいる車には、もともとヘッドレストが取り付けられていなかったとみられます。


その特徴に加え、ハンドルやメーターパネルの形状なども一致していることから、ファミリアバン1000である可能性が非常に高いという結論になりました。
ハンドルやメーターパネルを比較してみても、よく似ています。


50年以上、本栖湖に沈んでいる車
1968年に製造された車だとすると、2026年現在で約58年前の車ということになります。
沈んだ時期ははっきりとは分かりませんが、50年以上にわたって本栖湖の水中にある可能性もあります。
それほど長い年月を経ても、今なお車の形を保っているとは……恐るべし旧車ですね(笑)。
そして、わずかな特徴から車種を特定したオカピさんも恐るべしです……!(笑)
沈車は「水中遺物」になる?
佐々木ランディさんの著書『水中遺跡はそこにある』(筑摩書房)では、水中に50年以上存在するものを、歴史的資料として扱う国もあることが紹介されています。
本栖湖についても同書の中で取り上げられており、水中に残されたものが、どのような経緯で現在の状態になったのかを考えることも、水中考古学の重要な視点の一つです。
本栖湖の沈車も、単なる「水中に沈んでいる古い車」ではなく、これから歴史的な価値を持つ水中遺物として見られるようになるかもしれませんね。
本栖湖を潜る際は、車の形や運転席などをじっくり観察し、長い年月の流れを感じてみてください!


水中で手話を使いながら考察
今回のダイビングでは、沈車をただ眺めるだけでなく、水中で手話を使いながら車の特徴を紹介したり、考察し合ったりしました。
「車のミラーがないですね」
「窓ガラスは、どこに落ちたんだろう」
「タイヤがきれいに残っているんだ」
そのようなことを水中で手話を使って伝え合いながら、沈車をじっくり観察する時間は、とても楽しいものでした。
魚や水中景観を楽しむだけでなく、水中に残されたものの背景や歴史を想像し、みんなで考えながら潜ることも、ダイビングの面白さの一つだと感じました。
将来は、本栖湖の沈車をはじめ、各地に残る水中遺物について、手話で解説したり、参加者同士で考察したりしながら巡る「水中遺物・水中手話ツアー」も開催してみたいと思っています。
ダイビングは、魚を見るだけではありません。
水中に残された歴史や文化、人々の暮らしの痕跡に触れられることも、ダイビングだからこそ味わえる魅力の一つです。
参考資料
- 「名車探訪 MAZDA ファミリア(2代目)」グーネット
- YouTube「マツダ・ファミリア」に関する参考動画
- 佐々木ランディ著『水中遺跡はそこにある』(筑摩書房)

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